この記事で学べること
読んでいただきたい方:
- 子供の学習費用について漠然と不安を抱えている方
- 子供の資産運用の計算方法の一例を知りたい方
本記事で得られる情報:
- 幼稚園~大学を卒業するまでの学習費用がわかる
- 高校・大学進学を見据えて資産運用に回すべきおおよその金額がわかる
考えてみた動機や本記事の注意点
子供の将来のために学習費を準備しよう、と一言で言っても、進学先が私立か公立かは現時点ではわかりませんし、不確定な要素が多すぎます。そのため、この費用をしっかりと計算するのは意外と大変な作業ではないでしょうか。
最近筆者は、子供の銀行・証券口座を開設しました。主な目的は、大学卒業までの学習費用を準備することです。そんな筆者が、子供の大学卒業までの学習費用を賄うために、おおよそ月にいくらくらいの拠出を継続すれば良いのか、文科省が公表している学習費用のデータをもとに概算してみました。
なお本記事は、「皆様ご自身が子供の学習費を考えたり、資産運用の計算をされる際の1つの参考となれば」という思いでシェアさせていただいているものですので、計算結果はあくまで参考程度に解釈いただければ幸いです。
本記事の計算結果は、あくまで一個人による仮定を置いた計算結果です。可能な限り参照した数字や計算の中身は示させていただきましたが、本結果を基にした読者様の投資行動等の責任は負いかねます点、ご了承ください。
計算条件の整理
計算のアウトプット:
- 大学卒業までの学習費を賄うために想定される毎月の貯蓄額を計算する。
計算対象:
- 学習費のみ(生活費等は含めない)とする。
引き出す時期と資産運用の前提:
- 中学校まではすべて公立に通うことを想定する。
- 証券口座による資産運用は、基本的に大学の費用を賄う目的で18歳を予定引き出し年齢とするが、私立高校に入学した場合には高校及び大学どちらの費用も賄い、15歳を予定引き出し年齢とする。
拠出開始時の子供の年齢:
- 2歳とする。
- 幼稚園通学期間は4年とし、小学校~大学については通常想定される年数通学すると仮定する。
資産運用の方法:
- 毎月同じ金額を拠出し、証券口座で運用する。
想定する利回りと計算方法:
- 利回りは4%と仮定し、運用年数は16年(18歳で引き出す場合)と13年(15歳で引き出す場合)とする。
- 金額は金融庁の資産運用シミュレーションを用いて計算する。
学習費用のレファレンス:
- 文部科学省「子どもの学習費調査(2018年)」に掲載されている幼稚園~高校までの1年間の子ども1人あたりの学習費
- 「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」と「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果(2018年)」に記載されている大学の入学料及び授業料
その他:
- 修学支援制度や給付型奨学金、その他の支援制度による負担軽減は、本計算上は考慮しない。
計算結果
計算結果を以下に整理します。適宜、四捨五入しています。
18歳時点で「公立大学」の学習費を賄うために資産運用する場合
- 18歳まで(公立幼稚園~公立高校)に必要な学習費:5,659,605 円上記の①に要する毎月の支出額:29,500 円/月
- 18歳から(公立大学)必要な学習費:2,425,200 円上記の②に備えるための毎月の拠出額:9,000円/月
18歳時点で「私立大学」の学習費を賄うために資産運用する場合
- 18歳まで(公立幼稚園~公立高校)に必要な学習費:5,659,605 円上記の①に要する毎月の支出額:29,500 円/月
- 18歳から(私立大学)必要な学習費:3,866,569 円上記の②に備えるための毎月の拠出額:15,000 円/月
15歳時点で「私立高校」「私立大学」双方の学習費を賄うために資産運用する場合
- 15歳まで(公立幼稚園~公立中学)に必要な学習費:4,287,465 円上記の①に要する毎月の支出額:27,500 円/月
- 15歳から(私立高校~私立大学)必要な学習費:6,776,302 円上記の②に備えるための毎月の拠出額:33,000 円/月
計算過程やレファレンスの紹介
前項で示した結果を図にまとめました。図の補足説明をしながら、具体的な計算方法と、最後にレファレンスをご提示します。
図の左側にある「①資産運用以外で賄う学習費用」では、18歳で引き出す場合には幼稚園~高校卒業までの費用、15歳で引き出す場合には幼稚園~中学校卒業までの費用の合計を記載しています。
今回はおおまかな月々にかかる費用を知りたいだけなので、合計値を単純平均(例えば18歳で引き出す場合には、16年×12か月で割り算)して月単位としたものを「月割計算」としてボックス内に表示しており、こちらが2~18歳または2~15歳までに毎月かかる費用を表しています。
次に、「②資産運用で賄う学習費用」では、18歳で引き出す場合には大学の学習費用(公立または私立)を、15歳で引き出す場合には高校(私立)及び大学(私立)の合計学習費用を記載しています。
「②2~18歳の拠出月額」及び「②2~15歳の拠出月額」では、利回り4%で2歳から毎月一定の金額を資産運用に拠出するという条件で、金融庁の資産運用シミュレーションを基に計算し、その結果と「②資産運用で賄う学習費用」の合計額とを比べ、近しい数字が得られた毎月の拠出額を掲載しています。
なお、幼稚園~大学の学習費用計算に使用したテーブルは以下になります。
1年あたり学習費用 ※ | 年数 | 合計費用 | |
幼稚園 公立 | ¥223,647 | 4 | ¥894,588 |
小学校 公立 | ¥321,281 | 6 | ¥1,927,686 |
中学校 公立 | ¥488,397 | 3 | ¥1,465,191 |
高校 公立 | ¥457,380 | 3 | ¥1,372,140 |
高校 私立 | ¥969,911 | 3 | ¥2,909,733 |
大学 公立 | ¥606,300 (授業料4年+入学金を4年で割り算して算出) |
4 | ¥2,425,200 |
大学 私立 | ¥966,642 (授業料4年+入学金を4年で割り算して算出) |
4 | ¥3,866,569 |
※文部科学省「子どもの学習費調査(2018年)」に掲載されている1年間子ども1人あたりの学習費、「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」と「私立大学等の入学者に係る学生納付金等調査結果(2018年)」に記載されている大学の入学料及び授業料を参照
資産運用シミュレーション : 金融庁 (fsa.go.jp)
平成30年度子供の学習費調査の結果について (mext.go.jp)
おわりに
いかがでしたでしょうか。繰り返しになりますが、本計算結果はいくつもの仮定を置いて計算しており、あくまで筆者目線での計算です。本記事が、皆様ご自身の学習費の見直しや資産運用の検討に少しでも役立てれば幸いです。